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御駄物な話

伝統的な技法を駆使して天上天下唯我独特なデザインを生み出す駄な物づくり哲学

カテゴリー "仏事" の記事

日本人がお位牌を大切にする理由

2011年3月、東日本で起きた巨大地震で発生した大津波は東北地方沿岸部に押し寄せ、多くのものを破壊してしまった。
僕は以前から懇意にしていた大川興業総裁・大川豊氏からとある写真付きメールをいただいた。
震災位牌2
「仏壇や位牌が壊れているので、何か修復できる知恵を出してください」と書かれてあった。


僕の住んでいる愛知県三河地方は信心深い地域です。
なので三河仏壇という伝統的工芸品が300年も根付いている土地柄だったりします。
だから、僕の頭の中で位牌が壊れて悲しみに暮れるお婆ちゃんの姿がすぐに想像できました。
何とかしてあげたいと思う心と、どうやってやればいいのかと思う心が複雑に交差しておりました。
何故なら親子3人で経営している「つづき仏壇店」は数年来赤字経営。
経営を圧迫させてきたのは僕が必死にやってきた伝統的工芸品三河仏壇の復興事業。
正直、人を助けている場合ではなかったのです。


しかし、総裁からのメール以来東北のことが気になっていました。
一度行ってみてご縁があれば活動をすればいいと思い、大川興業のボランティアに同行して初めて被災地と呼ばれる地域に伺いました。
そこは衝撃でした。
右も左も分からない状況でボランティアセンターや役場に伺い、持ち主の分からない位牌が拾得物会場にあると教えてもらいました。
落し物として扱われている位牌の多くは傷ついておりました。
被災位牌
位牌が安置されている会場のボランティアさんに津波で傷ついた位牌を修復するボランティアをやりたいんですと告げると「実は持ち主がわかった位牌があっても、ボロボロの状態のものが多くて、もしやっていただけるのなら助かります」と協力してくれることになりました。
そこから位牌修復ボランティアは動きだしました。
結局、被災地に足を運ぶこと17回、約120柱の位牌を修復して持ち主に届けることをができました。


この活動で多くのことを学びました。
修復した位牌を渡しに仮設住宅に伺った時です。
小さな仮の仏壇に綺麗になった位牌を安置させて、震災直後の事をお話いただきました。
120512_1119~01

最初は命が助かって良かったと思った、でもすぐに位牌を持っていくのを忘れた事に気づいて本当に後悔した。
位牌があるから家に人が帰ってくる。
盆休みだって、お正月だって、法事だって身内が集まる理由は位牌に参りにくる。
位牌がなければ、家族バラバラになってしまうと。


家という単位から個に変化しつつある現代、家庭に位牌がないからだと被災された方に教えてもらった。
日本人は供養を、祖先を大切にする。
きっとDNAの中に刻み込まれているのだろう。
明日からお盆。
あの世から祖先が里帰りする。
お盆に提灯を飾るのは我が家への道しるべのため。
お盆は此の世に生まれてきた事への感謝を祖先に直接できる日です。
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仏壇のお掃除

年末になるとお仏壇の掃除に呼ばれる機会が増えます。
仏具のお磨きや仏壇の拭き掃除を代行させていただいています。


本日も1人暮らしのおばあさんの家の仏壇掃除に呼んでいただきました。
おばあさんとお話をしながらお掃除していると、勉強になる事ばかり聞けます。


おばあちゃんが言っていました。
「どんな事でも怒ったら、自分が損するから怒ったらダメですよ。」
「怒ると嫌な気分になるでしょ、それだけで時間を無駄にしてしまう」
「世の中は嫌な事があるのが当たり前。無いと思うから腹が立つの」
深いです。


仕事終わりにおばあちゃんの趣味で集めた工芸品を見せてもらうと、九谷焼で工房を案内してくれた人間国宝さんの香炉がありました。
おばあちゃんは人間国宝になる前に買っていたそうです。
すごい目利きだ。
おばあちゃんを褒めるとこう言っていました。
「その分、沢山失敗しているからね。失敗して成長するの」
……深いです。



お金貰って勉強させてもらったようです。



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仏壇とご遺体の間で

数年に1回くらいご遺体の前で仕事をする事があります。
昨日がその日にあたりました。


仏壇の電気がつかないから配線をやりなおして欲しいとの依頼。
今晩が仮通夜だから。
お客さんの所へ行くとまだ棺桶にも入ってなく、白い布団で寝ているご遺体がお仏壇の前に。
僕は仏壇とご遺体の間で仏壇の電気配線の仕事をしてきました。
親族の方々が集まって僕の作業を見守ってくれます。
よろけたて後ろに倒れたら凄い事になってしまうので、慎重に作業を行いました。


作業が順調に進むと葬儀屋さんがやってきて、「納棺の儀」を行いますといって棺桶にご遺体を入れ始めました。
何となく早く僕の仕事を終わらせなきゃって急ピッチで作業を行いました。
無事に終了すると葬儀屋さんに「お疲れ様でした」と声をかけれて岐路へ。


最近、ご自宅での葬儀が無くなってきたので、こういう経験も極度に減ってきました。
親族や近所の人が葬儀のために手を合わせにきてくれる人を迎える準備を一生懸命やっていました。
葬儀場で行うと楽ですけども、なんか喪主も亡くなった方も他人のような感じです。
キリスト教のミサにでも出たような感覚の葬儀になってしまいます。
田舎の方で場所があるのでしたら家でやるのがとても良いと思いました。
親族の女性陣の方々は接待や準備で大変ですので、家で葬儀をあげれる方は幸せな方だと思いました。

仏具磨きのネーミング

年々、仏壇の道具を磨いて欲しいというお願いが多くなってきました。
最近は毎日お磨きしているような気がします。


僕は機械を使ってお磨きをするんですが、一般の方々は手で磨きます。
縁側で仏具をおばあちゃんと孫が一緒になって磨いている姿は良い絵になると思います。
残したいお盆の風景です。


しかしながら、お磨きは結構重労働です。
手は汚れるし、力はいる。
何より案外仏具って数が多い。


そんな労力を軽減させようと簡単な仏具磨きが近年登場しています。
液体につけて水洗いするだけなんて簡単な物も登場。
腕力の衰えてきたおばあちゃん達に結構好評です。


残念なのはそのネーミング。
適当につけたとしか思えません。


この商品の名前を見てください。
「テガール」(多分、手軽にお磨きができるからだと思います)
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「ピカール・キレー」(ピカッと輝くように綺麗になるという意味だと思います)
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「ピカッとキレイ」(こんな単純な名前でいいのか?)
「シュ泡ッチ!」(泡状のお磨きだから、お磨きとシュワッチの関連性は?)
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「サビキレー」(錆びているわけじゃないのに)
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いったい商品名は誰が決めているんだろう?
居酒屋で決めているのか?


仏壇屋に「テガール」くださいって言う勇気は僕にはありませんね。

甘茶・ペットボトル

アートマンのPRをしてくれている寺院コムさんのサイトでこんなのを見つけてしまった。
ペットボトルに入った甘茶。
http://www.teratomo.jp/SHOP/60144.html
24本入りで5,280円。
1本200円くらいかぁ。
試しに買いたい。
しかし、今金がない。


来月にある花祭りには便利なグッズだ。
ユニークな時代になったんだなぁ。


甘茶を片手に花見も悪くないかも。