御駄物な話

伝統的な技法を駆使して天上天下唯我独特なデザインを生み出す駄な物づくり哲学

2011年08月の記事

良いことやるのも欲、悪いことやるのも欲だと思う

実は生まれて初めてボランティア的なことをやっています。
津波被害にあった位牌を無料で修理しています。


僕はボランティア活動は嫌いでした。
たぶん、今でも嫌いなんだと思います。
自分から進んでやろうなんて気持ちはありません。
僕は自分が知り合ってしまった人が苦しんでいるのを見て見ぬことはできないだけです。


ドイツ個展のときに自分がやれることを探してドイツ国際平和村に足を運びました。
https://www.friedensdorf.de/Welcome-102.html
そこで出会った戦争で傷ついた子供たちにできることがないかと思い、仏壇ナイトを始めました。
その収益を国内のNPOを通じて募金してきました。
なぜなら出会ってしまったからです。
TVのニュースでしかなかた事が現実だと理解できたからです。


今回の日本をおそった大震災。
ショッキングな映像でしたが、やはりテレビで流れているだけで自分の中に実感はありませんでした。
911のテロでビルに飛行機がつっこむ映像を見ているようでした。
何かしなくてはとは誰でも思います。
僕もそうでした。
すぐ行動を起こせる人とそうじゃない人、僕は後者です。
そこにはたぶんボランティア嫌いがあるのだと思います。


犯罪を犯す人の多くは欲を満たすためです。
善意も同じく欲だと僕は思っています。
極端な善意は自己欲求を満たすためにやっていることが多い。
僕は良いことは麻薬みたいなものだと表現しています。
周りが不幸になったとしても良いことやっているから誰の忠告も聞かずに突き進んでしまう人が結構います。
それはそれなりに素晴らしいと思います。
僕も実際、そのようになりかけていた感があります。
良いことをやっているのにどんどん苦しくなっていく。
僕が正しいのに、なぜ理解しないのだと怒りがこみ上げた時期もありました。


大人になってわかったんです。
良いことをやっている自分をほめて欲しかったんだと。
若いころの自分は欲の塊だったのです。


それに気づいてからボランティアには興味がなくなりました。
欲と付き合っていこうと。
自分のやりたいことと合致したことをやる、これが一番大事です。


今回の位牌修復は技術がなければできません。
他の伝統産業とは比較にならないほど地位の低かった仏壇職人が、誰かのためになる。
仏壇職人だからやれるボランティアです。
だから頑張れるのです。
12時間のドライブだって毎月やれるのです。


善意を欲だと気づけてよかったと思っています。
だから偽物の善意を抑える事もできます。
気づいたからこそ本当の支援を行えるのかもしれません。


僕は仏教の中道の精神が大好きです。
良いことと悪いことのど真ん中を歩いていく。
トータル的にど真ん中が素晴らしい。
そんな活動をずーっと続けていきたいと思います。


中道的な精神なので、僕はどんなことがあっても心が折れないのです。
最近、まじめな人だという印象がついてきたのでちょっと不安になっています(笑)
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先ほど被災地から帰って来ました

津波で傷んでしまった位牌を修復して届けてきました。
詳しい内容はまた後日アップします。


今回は3日間の日程で行ってきました。
初日は塩竈市のお寺で津波被害の位牌を預かってきました。
2日目は気仙沼に修復したお位牌を届けながら、ボランティア活動に参加してきました。
3日目は仙台から支援物資を積み込んで福島県の南相馬市まで届けてきました。
それぞれ道中ではいろいろな活動をしている方々に挨拶をしてきたりしています。
そちらも後日アップしたいと思います。


これで津波に被災した地域は福島は南相馬市から上、宮城県は石巻市と東松島市を除く全地域、岩手県は山田町から下までを実際に訪れました。
本当にいろいろと考えさせられます。


津波は多くの物を奪い去ってしまったけど、津波が今までご縁のなかった方々を引き寄せてくれた。
今回現地の方にいただいた言葉です。
確かに今回の大災害がなければ、お会いできなかった方々が沢山いると思います。
やれる事だけしか出来ないですが、引き受けた事だけは僕なりにできる事を精一杯やっていきたいと思っています。


現地でお預かりしたお位牌を来月渡せるように仕事を進めていきます。
今回同行してくれたデビルロボッツのキタイさん・コトさん。
アートマンの伊藤君・石川さん。
本当にお疲れ様でした。
またよろしくお願いします。

いろいろと仏壇の制作依頼がありまして

フリースタイルな仏壇を作れるのには自信がありました。
やっと他も認めてもらえるようになったのかもしれません。


現在流通している仏壇ではどうも嫌だというお客さんが僕の所へ来ていただけるようになりました。
元来、仏壇とは一本物の手作り品であるのが当たり前でした。
つまらない経済発展で仏壇も大量生産される時代になり、個性のない仏壇ばかりがあふれる事になりました。
形式だけはしっかりと守られるけど、それでよいのか?
仏壇こそ人それぞれの想いを形にすべきだと思っております。
故人の事を思えば、仏壇をこだわるのは当たり前です。
そして使う人の自分らしさも。


1年前くらいから相談を受けていた創作仏壇をお盆前に納めてきました。
お客さんが持ってきてくださった仏壇を飾る部屋の写真に素敵な李朝家具が写っていたので、李朝家具を仏壇にする事を提案しました。
お客さんが気に入った李朝家具を購入してくださり、そこの内部に仏像と位牌を飾れるスペースを作って納めさせていただきました。
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昨日は知人から古いお仏壇を小さくして欲しいと依頼されました。
100年近く拝んできたお仏壇ですので、捨ててしまっては申し訳ない。
しかし、家に置くには大きすぎる。
使える部分を残して小型にしてもらえるかという相談でした。
小さくするなんてやったことないのですが、仏壇を大切にしたいという心意気が見え隠れして、即答で引き受けてきました。


被災地のお位牌修復ボランティアをやるようになってから、以前にまして仏壇の大切さを感じるようになりました。
何のために、誰のために仏壇はあるのだろう?
僕には明確な答えが見つかりました。
そして自分のやってきたことが間違っていない事も。


僕は仏壇を作る仕事が好きです。
仏壇が持つエンドレス的な奥行のある世界。
本当に美しいと思います。


30代は自分の作りたい物をアートとして表現してきました。
10月には40代に突入します。
40代はお客さんが表現してほしい物を作っていきたいと思います。
そんな事を小さく小さくやっていきたいと思っています。

津波被害の位牌修復をしています

日記が本当に久しぶりになってしまいました。
お盆は仏壇屋にとって一年で一番忙しい時期です。
それに加えて、今年は3.11の東日本大震災での津波被害のお位牌を無料で修復するボランティアを初めており、その位牌をできるかぎりお盆までに持ち主に綺麗な形にして返そうと必死に仕事をしていました。
おかげで6月後半から丸々1日休みを取れた日はありませんでした。
当然ですがお盆休みもなく、次回の水曜日の店の定休日が本当に久々の一日オフの日になります。


身を削るような日々のおかげでお位牌をなんとかお盆までに届くように仕上げる事ができました。
津波の力がどのように位牌を壊してしまうのかをお伝えするために製作した物を少しだけ公開させていただきます。

津波位牌修復実例002
こちらは位牌の下の部分が全て津波で流されてしまっています。
位牌の台部分はホヅとよばれるパーツで取れなくなっているのですが、その部分ごと大きくえぐられてしまっています。
えぐり取られた箇所を木材で木地直し欠損部分を作成、塗りなおしをして文字を蒔絵で、装飾を金箔で行っております。


津波位牌修理実例2
こちらは上部と下部が両方とも津波で流されています。
欠損部分を作りなおして、塗り直し、文字を書いて金箔を押して仕上げています。


津波位牌修復実例011
一番多いのは津波でさらわて、海水に浸かってしまったために起きる塗りの剥離と何かに衝突してできたクラック状のひび割れです。
このような場合は下地をして塗りなおして、文字書き、金箔という工程で仕上げています。


欠損箇所や痛み具合は一つ一つ違います。
それに応じて修復する作業をしています。
お盆までに(初めての依頼が7月17日)15柱の位牌を修理して持ち主に送らせていただいております。
お盆直前にも持ち主の見つかった位牌が送られてきており、手元に10柱ほど修理待ちの位牌があります。


位牌の文字書きをボランティアしてくれると近所のお坊さんが手を上げてくれました。
信仰深い三河地方だから、伝統産業が残っている三河地方だからできるのでしょうね。


地味ですが、一柱、一柱ずつ修復して東日本を応援できればと思っています。


40メートルの津波を耐えて、持ち主に戻ってきた位牌には絶対なにか特別な力があるはずですので。
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