御駄物な話

伝統的な技法を駆使して天上天下唯我独特なデザインを生み出す駄な物づくり哲学

2015年05月の記事

漆塗りフィギュア

 一昨年から漆にはまっております。
漆は縄文時代から日本人にはなくてはならない塗料です。
日本最古の漆製品は9000年前の地層から発見されているというのだから、日本人と漆は長い付き合いをしてきました。
しかし、自分たちの身の回りに漆の物ってありますか?
正直、漆っぽい物はあっても漆の物って触ったことがないんじゃないかな?
仏壇には漆を使いますが、徐々にカシュー漆やウレタン塗装など漆を使わなくなってきている。
理由は簡単、漆は高く、さらに技術がいるから安価で簡単な塗料を使うようになったのです。
作り手から伝統を崩壊させてきているって気づいた時にはちょっとマズイよなぁって思いました。

 ちょっとマニアックな話になるんだけど、漆って面白い。
まずは乾燥方法が不思議です。
漆と湿気が化学反応を起こして硬化していくんですよ。
だから塗った時よりも数年たった方が固くなるという不思議な性質を持っている。
仏像とかって木で作って漆を塗ってある。
だから数百年って年月壊れずに保たたれている。
凄い高性能塗料なんです。

 漆の木を育てるのに10年くらいかかる。
1年しか漆をとれないんだけど、1本の木から採れる漆の量ってのが200CCしかない。
牛乳瓶一本分程度を取るのに10年かけるんだから費用対効果悪いよね。
でも漆って他にない美しさがある。

 僕はかなり前から伝統って維持する事ばかりに意識がありすぎて、欲しいと思う物がないって考えてきた。
変わった仏壇作ってきたのも自分が欲しいと思う仏壇を作りたかったからです。
漆が素晴らしいのは僕は知っている。
しかし、欲しい漆の製品がない。
だったら作ろう。
僕は無類の玩具好き。
漆の玩具なら僕は買う。
それだけの理由で約2年、プラスチックのフィギュアに漆を塗ることを職人と二人三脚でやってきた。
そしてやっとできたのが、漆塗りのウルトラマン。
仙台三越の初売りで8体限定で約25万円で販売したら、60名弱の申し込みがあった。
伝統って常に新しいことを取り組んできたから、数百年残ってきているのだと思う。
普通の職人から見れば馬鹿なことをしてとか、伝統の面汚しだと怒られる。
僕はその感覚がおかしいと思う。
技術があれば何でもできるのだから、自分が正しいと思うことをすればいい。
評価は消費者がしてくれる。

僕はそう思って自分の信じる伝統保全の方法を試している。
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現在、新たな漆塗りフィギュアの試作品を製作中。
この夏、どこかでお披露目できます。
お楽しみに!
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